製造業の高度化と多様化に伴い、複雑な形状や高精度が求められる製品の需要が急速に拡大しています。その中で、5軸マシニングセンタは、従来の加工技術では対応が難しかった課題を解決する革新的な工作機械として注目を集めています。このページでは、5軸マシニングセンタの特性を最大限に活用した加工事例をまとめました。
5軸マシニングセンタを導入する前に、具体的な活用方法をイメージすることが大切です。ここでは、さまざまな分野での活用例を紹介します。5軸マシニングセンタの活用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
ステンレス素材で、穴が多くリブがある形状のサンプルワークを、ニデックオーケーケーの5軸制御立形マシニングセンタ「VB-X350」で加工した事例。
このような金型部品や各種産業機械部品を従来通り3軸機で加工しているケースは多いですが、5軸機による割出加工を活用することで、段取り工程を削減できることがイメージしやすい事例です。

ブリスクの最外周に円環をつけたような製品を、5軸マシニングセンタを用いて一体で削り出しています。内側のインペラーと外枠のシュラウドを別々に作製して組み合わせる方法ではなく、5軸マシニングセンタで一体加工することで、組み立て不要で強度が増し、熱変形も抑制できます。一方で、翼形状に応じた加工角度の制約があり、工具の突き出しを短くしつつ機械との干渉を回避する工夫がなされています。

ジェットエンジン用の動力発生タービンとして、遠心型のタービンを5軸加工した事例です。この遠心タービンは、ジェットエンジン内の軸流ファンと斜流コンプレッサーを回転させる動力源となります。大流量タイプの高比速度羽根のため、奥行きが深く、一体5軸加工でも製作するのは大変です。しかし、5軸マシニングセンタを活用して、高精度で完成しています。

自動車部品を五軸マシニングセンタとNC旋盤で加工しています。材質はS35C 、サイズはΦ100×110 、精度は±0.05 です。アンダー形状の製品に使われる5軸加工ですが、特殊形状だけではなく、通常製品の加工でもメリットは大きく、段取り替えを削減でき、加工時間を短縮できます。特殊工具が不要なので、加工コストも削減でき、周速ゼロ点を回避できるので、高品質な加工ができます。

5軸加工を活用した半導体向け部品加工の事例です。素材はアルミ、ステンレス、真鍮を使用し、精度は1/100~1/1000mmとなっています。5軸マシニングセンタを活用し、丸モノ・角モノを加工できます。この事例は曲線が美しく仕上がっています。5軸マシニングセンタは、試作でも対応しやすいです。

人工骨(膝関節部品)を同時5軸マシニングセンタで加工しています。X/Y/Z軸とテーブルのA/C軸が同時に稼働することで、立体的で複雑なアンダー形状や滑らかな曲面を、一度の段取りで高精度に切削可能です。医療用チタンなどの硬質材料でも、段取り替えの削減と加工時間の短縮ができ、コストダウンと短納期に貢献します。さらに安定した切削速度を維持することで優れた表面品質を確保します。

こちらは難削材であるMA276(HASTELLOY® C-276)を用いて製作した金型部品の加工事例です。MA276はニッケル基合金にモリブデンやクロムを多量添加し、ステンレス材を上回る耐食性・耐熱性を有する一方、硬度が高く熱伝導率が低いため、切削時の発熱や加工硬化による工具摩耗が大きい「難切削材」として知られています。
同時5軸マシニングセンタを駆使し、最適な切削工具選定と切削条件の最適化により、複雑な突起形状や内部構造を含む金型でも高精度な仕上げを実現しました。

5軸マシニングセンタを用いて、SKD11製のネジ駒を加工した事例です。SKD11はダイス鋼とも呼ばれるJIS規格合金工具鋼で、炭素1.4~1.6%、クロム11~13%を含有し、卓越した耐摩耗性を誇ります。ネジ部の加工には高硬度の超硬工具を採用し、複雑なネジ形状でも高精度に仕上げています。5軸加工ならではの最適な工具姿勢制御により、段取り替えを削減して加工時間を短縮するとともに、工具寿命の延長と均一な表面品質を両立することができます。

同時5軸マシニングセンタを用いて、歯車射出成形金型の主要部品であるキャビティ、コア、および放電マスターを直彫り加工した事例です。素材には鋼と銅を使用し、歯車歯形の3Dモデルを基に、特殊な歯形でも専用工具を必要とせず精密加工を可能にしました。5軸複合機による加工対応により、どのような形状の放電マスターでも一貫して製作できます。

SUS316はモリブデン添加で高い耐食性を持つオーステナイト系ステンレス鋼で、海水環境や医療機器部品など過酷な条件下でも使用される素材です。加工は4軸・5軸を任意の角度で固定しながら3軸加工を行う割出加工を採用し、美しいピラミッド状スパイクを短時間で仕上げています。さらに、3DCAD/CAMと5軸加工機の連携により、形状や角度の変更にも即時に対応でき、試作から量産まで一貫して高精度加工で製造できます。
ここでは、インペラ同時5軸加工、アルミ削り出し、金型用CAM事例の動画を通じて、5軸マシニングセンタの可能性を紹介します。各加工工程の詳細と最適化ポイントも併せて解説するため要チェックです。
引用元HP:大阪産業技術研究所公式YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=dRJVerhXuzs
インペラの羽根部分は、曲面が複雑で加工が難しい部品です。そこで、5軸マシニングセンタを使って羽根を一度に多方向から同時に加工することで、作業時間を短くしながら、高精度な仕上がりで加工しています。
XYZの3軸を連動させて制御することで、羽根の角度を細かく調整でき、余分な削り(バリ)も抑えることが可能です。また、工具の動きを最適化することで、荒削りから仕上げまでスムーズに進み、工具の寿命も長くなります。
引用元HP:大阪産業技術研究所公式YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=8mk_ALYNU8A
アルミの塊からワイングラスの形を削り出すときには、回転する工具(スピンドル)と5軸の動きを組み合わせることで、グラスの内側を滑らかに仕上げることができます。加工中は、素材にかかる力や振動を抑えつつ切り進めるスピードや深さを調整し、全体の厚みが均一にすることも可能です。
さらに、最後に磨き(ポリッシュ)をかけることで、表面が鏡のようにピカピカになり、装飾品や展示用モデルなど、高い品質が求められる製品にも対応できます。
引用元HP:大阪産業技術研究所公式YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=q8TwtCSKc3o
金型を作る際に、CAM(コンピュータ支援製造)で作成したデータを使うことで、複雑な形状の部分も、荒削りから仕上げまでスムーズに進めることができます。5軸加工機ならではの柔軟な動きにより、深い溝や逆方向からの加工が必要なアンダーカット部も、高い精度で削ることができます。
また、NCプログラムを自動で作成することで、加工前の準備時間を大幅に短縮できます。加工中は工具にかかる負荷をリアルタイムで見守りつつ、熱による寸法のズレも補正するので、安定した品質を保つことができます。
当メディアでは、5軸マシニングセンタの構造による違いやメリット・デメリットなど、5軸マシニングセンタを導入する上で知っておきたい基礎知識をまとめて紹介しています。5軸マシニングセンタをはじめて導入する方は参考にしてください。


