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インペラ加工とは?

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インペラ加工とは

インペラ加工とは、ポンプや圧縮機などに用いるインペラをCNCで素材から削り出し、所定の形状・精度・表面状態に仕上げる工程の総称です。荒取り→中仕上げ→仕上げの順で進め、ブレードの自由曲面を守るために同時5軸や3+2軸、スワーフやモーフといったツールパスで刃の当て方を最適化します。

インペラは流体にエネルギーを与える回転体で、中央のハブと複数のブレード、用途に応じてスプリッタと呼ばれる補助翼から成り立ちます。ブレードはねじれと反りをもつ自由曲面で、半径方向に曲率や厚みが連続的に変化します。この形状はポンプや圧縮機、ターボチャージャーでの効率と騒音に直結するため、翼面の幾何精度と表面状態の管理が重要です。

深い溝の奥まで均一に当てながら削る必要があるため、3軸では工具の突き出しが長くなり干渉や段差が生じやすくなります。そこで工具姿勢を滑らかに傾けて当てられる同時5軸や、最小段取りで多面を仕上げられる3+2軸が活躍します。インペラ加工の現場では、工具側面を使って翼面をなでるスワーフや、面間を等間隔でつなぐモーフなど、自由曲面に適したツールパスが使われています。

インペラ加工のメリットとデメリット

同時5軸によるインペラ加工のメリットは、段取りや治具点数を抑えながら、短い工具で狭所に届き、干渉を避けつつ翼面を連続したツールパスで仕上げられる点です。接触点の位置を一定に保つ制御により当たり方を安定させやすく、スキャロップの均一化と面のつながりが得られます。機械シミュレーションとGコード検証を併用すれば、干渉や姿勢限界を事前に洗い出してやり直しを減らせるため、リードタイム短縮にもつながります。

一方で、5軸機やCAM、ポスト、検証環境の整備が必要となり、立ち上げ時はオペレータ教育と工法の標準化に時間がかかります。耐熱合金やチタンのように難削材を扱う場合は工具摩耗と発熱への配慮が増え、条件設計と検証の往復が不可欠です。初期投資や習熟のハードルはありますが、工法が定着すると試作から量産までの安定性に手応えが出ます。

インペラ加工の事例

同時5軸のインペラ加工事例

>同時5軸のインペラ加工事例
引用元HP:ホーコス公式HP
https://www.horkos.co.jp/showroom/mac/product/nj35-5ax/

産業機器向けのタービン翼列に使用されるインペラの加工事例です。材質は析出硬化処理系ステンレス鋼の17-4PHで、ワークサイズはφ400×200mm。マルチブレードCAMによるツールパス生成と同時5軸マシニングセンタを組み合わせ、複雑な翼形状を高精度に仕上げています。

17-4PHは高い強度と耐食性を兼ね備える一方で、切削抵抗が大きく熱の影響を受けやすい材料です。そのため、工具負荷を均一に保つツールパス設計と、適切な切削速度・送りのバランスが重要になります。本事例では、ブレード間の干渉を避けつつ、翼面の連続性と寸法精度を確保するために同時5軸の優位性が発揮されています。

大型ワークでありながら、加工条件の最適化と工程設計により、仕上げ精度と安定した再現性を両立。産業機器の信頼性向上に寄与する、インペラ製作の一例です。

インペラ加工のポイントとコツ

インペラ加工のポイントとコツ

材料ごとの考え方として、アルミは切りくず排出の良さを活かして高送り域で時間短縮を狙いやすい一方、溶着を避けるため切れ味と潤滑を確保します。ステンレスは靭性と加工硬化の影響で発熱が増えやすく、安定した切込みとコーティング選定が効きます。チタン合金では熱が工具側に集中しやすいため、周速を抑え、一定のチップ厚を維持しながら十分な冷却を行う設計が有効です。インコネルのような耐熱合金は高温強度と加工硬化の影響で摩耗が進みやすく、短いオーバーハングと高圧クーラントの組み合わせが安定に寄与します。薄肉化したブレードではびびりを避けるため、工具の突き出しを最短にし、変ピッチや制振機構を備えたエンドミルを選ぶと安定領域が広がります

加工順序は支持の残し方が鍵で、翼端を最後に仕上げるなど、剛性を保ちながら段階的に薄くしていくと変形を抑えられます。スワーフやモーフなどの同時5軸ツールパスは、接触点の位置を一定に保つ考え方と相性がよく、当たり方を安定させるうえで有効です。治具は初工程でドブテイルや5軸バイスで確実に把持し、二次工程でハブ穴に拡張マンドレルを用いて芯出しと支持を両立させる方法が実務で広く採られています。

プログラムは作成直後に機械シミュレーションとGコード検証で干渉と軸限界を確認し、工具・ホルダ・治具を含めた干渉チェックを標準にします。検査はCMMの5軸連続スキャンと光学式3Dスキャンを使い分け、CAD公差との照合を工程能力として管理します。評価指標はJIS B 0601などの規格に基づき、図面での記法を統一して誤解を防ぎます。

まとめ

インペラ加工は、自由曲面の翼面を傷めずに仕上げるための工具姿勢制御、治具の保持設計、干渉の事前検証、そしてCMMや3Dスキャンによる全体確認までを一連で設計する仕事です。5軸と専用CAMを軸に、スワーフとモーフ、接触点制御を組み合わせれば、翼面の連続性と品位を両立しやすくなります。

まずは自社の主要材で小径サンプルを製作し、ドブテイル保持から拡張マンドレルへの受け渡し、シミュレーションから測定までの一連の流れをテンプレート化してください。立ち上げには学習コストが伴いますが、標準化が進めばリードタイムと手戻りの低減に確かな効果が出ます。インペラ 加工の内製化か外注かで迷う場合も、5軸機とCAMの評価機やアプリケーション支援を活用し、実ワークでの試削検証から検討を始めると判断が早まります。

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