アンダーカット加工は、真上からの直進では刃先が届かない逆えぐれ形状を、工具の姿勢や到達角度を工夫して削り出す方法です。代表的にはT字溝の奥側、ポケット内部の段差、裏面の面取りやOリング溝などが該当します。三軸マシニングではホルダやワークの干渉が起きやすく、到達できる角度も限られますが、五軸マシニングセンタでは工具を傾けたりワークを割り出したりしてアクセス角度を最適化しやすく、一体加工に寄せやすくなります。加工前に設計モデルのアクセシビリティを解析して、どこがアンダーカットになるかを把握しておくと、工具や経路の選定が無理なく決められます。
アンダーカット加工を五軸で行うと、短い突き出しで当てられる場面が増え、びびりやたわみの抑制に有利です。工具姿勢を保ちながら一定の接触角で走らせやすいため、仕上げ面のムラや取り残しも抑えられます。段取り回数を減らしてワンチャックに近づけられる点も、位置ずれの抑制やサイクルタイム短縮の面で効果があります。一方で、長首工具や薄肉部では振動が出やすく、ホルダや主軸頭との干渉リスクも伴います。そこで、突き出しを最小にし、干渉回避の設定と動作シミュレーションを徹底し、必要に応じて同時五軸と3+2位置決めを切り替える運用が有効です。制御側のスムージングや先行制御を併用すると、旋回軸の急加減速に起因する段差や目ヤセも抑えられます。

成形現場では、製品内側に金型の突き出し方向とは異なる向きのアンダーカット形状を持つ部品の生産が課題となっていました。この複雑な内側形状は、製品を真っ直ぐ突き出すことを不可能にするため、金型設計の初期段階から対応可能な技術が求められていました。
一般的に、製品の外側にあるアンダーカットは水平方向に動くスライドコアで処理されますが、製品の内側にアンダーカットが存在する場合、水平スライドではコアが製品自体と干渉してしまうため、従来の技術では対応が困難な状況でした。
この難題に対し、解決策として「ルーズコア」(傾斜コア)機構の採用が提案されました。ルーズコアは、通常のスライドコアでは対応不可能な内側アンダーカット処理に特化した機構です。
ルーズコア機構は、金型の突き出し動作(エジェクターストローク)を利用して動作します。突き出しピンが製品を押し出す力の一部を、カムやアンギュラーピンを用いることで斜め方向の力に変換し、アンダーカット部分のコアを内側から引き抜きます。これにより、コアを水平方向だけでなく斜め方向にも移動させることができ、複雑なアンダーカット形状をスムーズに処理することが可能となります。
このルーズコアの設計には、アンダーカットの形状、深さ、角度に合わせて、コアの分割方法やスライドの角度、ストローク量の精密な計算が必要とされます。金型メーカーは、様々な製品形状に対応してきた実績を基に、この高度な機構を製品に最適化し、高精度な成形を実現しています。
ルーズコア機構が導入された結果、これまで成形が困難であった内側アンダーカットを持つ製品の安定した生産が実現しました。この技術的な突破口により、製品設計者は製品の機能性を向上させるための複雑な内部構造を、成形上の制約を気にすることなく設計に盛り込むことが可能となりました。金型メーカーは、複雑な形状のアンダーカット処理に関する深い知見と設計ノウハウを活かし、お客様の高度な製品設計要求に応えています。
アンダーカット加工は、最初に「どの工具で」「どの角度から」「どの長さで届くか」を決めて計画すると後戻りを減らせます。ロリポップ形状のボールエンド、Tスロット用、ドブテイル用など形状に合ったアンダーカット対応工具を選び、突き出しは最短に保ちます。切り始めは斜め進入で衝撃を和らげ、溝や縁に沿う一方向の連続経路で負荷を一定にすると、びびりと寸法の揺れを抑えられます。
工具経路は、届く範囲であれば3+2の位置決めを基本にして安定性を優先し、必要な箇所だけ同時5軸へ切り替えると段取りと保守が楽になります。干渉回避・到達解析・保持具とのクリアランス確認を事前に行い、ホルダや主軸頭の当たりを避けます。旋回軸の急加減速で段差が出やすい場合は、機械側のスムージングや先行制御を活用し、コーナー部では加速度を抑えます。
仕上げ前のバリ対策は、裏面の面取りや交差穴の内縁に届く経路を用意し、アンダーカット対応工具で面取り量を一定に保つと再発を防ぎやすくなります。切粉はエアブローやクーラントの向きを調整して外へ逃がし、浅いピックフィードで表面を均します。
設計面では、不要なアンダーカットを避けるために貫通化や分割の検討を早い段階で行い、最小Rや面取りで刃当たりを安定させます。ホルダ首元の逃げ寸法と到達角度の余裕をモデルに反映しておくと、干渉リスクが減り、狙い面の品位が安定します。
アンダーカット加工は、届く角度の設計と干渉回避、短い突き出しの確保で、段取りの重複と面品位のばらつきを抑えられます。次は、扱う部品の材質や寸法、公差とロットに合わせて、五軸マシニングセンタの特性を照らし合わせる段階です。
歩留まりとリードタイムを安定させる近道は機種選定です。下の「加工する部品別のおすすめメーカー」で要件に合う候補と導入サポートを見比べてください。
5軸マシニングセンタメーカーの中でも加工する部品によって適切なメーカーがかわることから、当サイトでは「産業機械の部品」「航空機部品」「自動車部品」の加工する部品別におすすめの5軸マシニングセンタメーカーを紹介しています。メーカー選びの参考にしてください。


